株式会社リーガルフロンティア21
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行政書士と渉外関連業務

片山行政法務事務所 片山 武史(行政書士)

1.渉外業務の代表格=入国管理局関連業務

 行政書士の業務としては、官公署に対する各種許認可等の申請業務が一般によく知られています。他方、国際社会のボーダーレス化の中で、外国人の日本への入国者数は平成13年で約530万人に上り、国内での外国人登録者総数も同年で約180万人と増加の一途をたどっています。
 こうした中、行政書士の業務として近年増加しているのが、来日を希望し、または既に日本に在留する外国人のための入国管理局関連業務です。主な業務としては、海外在住の外国人がビザを取得する際に必要となる「在留資格認定証明書交付申請」、既に在留している外国人の「在留資格変更許可申請」、「在留期間更新許可申請」、「資格外活動許可申請」等があげられます。また「永住許可申請」、「帰化申請」のサポート等も重要な業務です。

2.在留資格の種類と近年の特徴

 在留資格には全部で27種類ありますが、大別すると次の4種類に区分されます。

(1) 日本国内での就労が認められる資格
外交、公用、教授、芸術、宗教、報道、投資・経営、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術、人文知識・国際業務、企業内転勤、興行、技能
(2) 就労が認められない資格
文化活動、短期滞在(俗に言う観光ビザ)、留学、就学、研修、家族滞在
(3) 就労の可否が個々の許可による資格
特定活動(ワーキングホリデイその他)
(4) 活動内容に制限がない資格
永住者(特別永住者を含む)、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者

 これらの区分のうち(1)から(3)については、申請者(外国人)自身の学歴・職歴等の経歴や、招聘する側(日本企業や団体等)が許可に必要な要件を満たすことにより在留が認められる資格です。外交等の特殊な資格を除けば、就労可能な資格として最も一般的なものは、人文知識・国際業務、企業内転勤、投資・経営、技術、技能等の資格でしょう。また、就労が認められない(2)の資格の場合でも、留学や就学、家族滞在の場合には、「資格外活動許可申請」を行うことで一定条件内での就労は認められています。
 これに対し(4)については、主として申請者本人の身分関係に基づいて許可される資格と言えます。在留外国人の絶対数の増加に伴い、この身分関係を基礎とする在留資格取得者も必然的に増加傾向にあるのが近年の傾向です。その結果、ある意味では当然のこととして、「日本人と外国人」あるいは「日本に在留する外国人同士」の婚姻や親族関係の発生・消滅等の身分関係に起因する渉外戸籍その他の法律問題が、クローズアップされてきています。

3.身分関係に伴う渉外問題の基礎となる法例

 渉外問題そのものは、在留外国人の身分関係に関する問題に留まらず商事契約関係や企業間の国際M&A等多岐にわたりますが、そのうち身分関係に伴う主なものとして、(1)婚姻、(2)離婚、(3)親子(嫡出子・非嫡出子)関係、(4)渉外養子、(5)相続・遺言等があげられます。
 こうした渉外問題を考えるに際しての基本は、言うまでもなく「法例」にあります。婚姻成立の要件・方式に関する第13条、婚姻の効力に関する第14条、離婚の効力に関する第16条、嫡出・非嫡出に関する第17条・18条、養子に関する第20条、これらの身分行為の方式に関する特則を定める第22条等、法例の理解なくして渉外問題を語ることはできません。

4.法例と日本法だけでは解決できない渉外問題

 しかし現実に発生する渉外問題は、法例の規定と日本法の適用だけで必ずしも解決できるものではありません。
 例えば婚姻の成立について、日本人と外国人の間で日本法上有効に成立している婚姻であっても、当該外国人の本国法上外国人配偶者は未婚のまま(跛行婚といいます)である場合(中華人民共和国やインド)もあります。
 また不幸にして離婚となった場合、法例により準拠法が特定できたとしてもその後に検討を要する法律問題が残ります。例えば、(1)準拠法が協議離婚を認めているか(認めない場合は裁判離婚・審判離婚等に依る。特殊な例としてフィリピンのようにそもそも離婚を認めない国もあります。)、(2)裁判管轄についての問題(被告の住所が日本にある場合、また被告が行方不明や無断で帰国・遺棄等の場合は原告の住所が日本であれば可)、(3)外国で先に離婚判決が確定した場合の当該判決の効力(民事訴訟法第118条を類推適用)等についての検討が必要となります。
 法例と日本法の適用に加え、具体的な事案に応じて当該外国人の本国法における民法・婚姻法その他の身分法・財産法上の規定についての研究・検討が重要と言えるでしょう。